脂漏性角化症(老人性イボ)とは?症状や原因、治療方法&保険適用の有無を解説

盛り上がったシミは脂漏性角化症かもしれません。見た目がよくあるシミと異なるため、癌ではないかと気になる方もいるでしょう。

ここでは、脂漏性角化症の症状や原因について紹介します。癌との違いや保険適用の有無についても解説しますので、治療を検討している方はご覧ください。

監修者
新宿院 院長
野口 なつ美
目次

脂漏性角化症とは

脂漏性角化症(老人性イボ)は、皮膚に盛り上がってできた、いぼ状の良性腫瘍のことです。

黒色や褐色、肌色などさまざまな色調があり、中年以降に出やすい点が特徴です。楕円や円形など丸みを帯びた形状が多く、見た目は乾燥していたり、ツルッとしていたりします。5mm以下の小さめのものもあれば、5〜10cmと大きくなるケースなどサイズもさまざまです。

脂漏性角化症と癌の違いは?

脂漏性角化症は良性の腫瘍、癌は悪性の腫瘍です。

脂漏性角化症とよく似た悪性腫瘍として、悪性黒色腫が挙げられますが、両者はまず見た目が異なります。脂漏性角化症は円形・楕円形で左右対称、ふっくらとしており輪郭が明瞭です。肌と主用途の境目がくっきりとしている場合が多いのが特徴です。

一方、悪性黒色腫は左右非対称で輪郭が不明瞭、色ムラがあり黒い部分・茶色い部分などが集まっているように見えます。また、脂漏性角化症の場合は放置しても見た目以外の悪影響はありませんが、癌の場合は放置すると周囲の組織に浸潤・破壊をする恐れがあります。

脂漏性角化症を放置すると癌化する?

脂漏性角化症は癌ではないため、そのままにしておくことで悪性腫瘍に進行してしまう危険性はありません

ただし、黒っぽい色調である場合、悪性黒色種などの皮膚の悪性腫瘍と間違われるケースがあるため、適切な診断と検査が必要な場合があります。診断は、ダーモスコピーと呼ばれる拡大鏡で皮膚を視診して行われます。

一方で、悪性腫瘍かどうか判断する場合には、脂漏性角化症の組織を切除して検査するのが一般的です。

脂漏性角化症の原因

一度できると自然には消えない脂漏性角化症ですが、はっきりとした原因は判明していません。

一方で、大量のメラニンが蓄積されることで皮膚が盛り上がることが影響しているといわれています。ここでは、脂漏性角化症ができる原因といわれる、メラニンが蓄積する要因について詳しく解説します。

皮膚の老化

別名「老人性イボ」と言われるように、皮膚の老化現象が発生要因となるため、中年以降の高齢な方にできやすいのが特徴です。

また手のひらや足の裏以外の皮膚であればどこにでも発生するため、紫外線が当たらない陰部や脇の下、腹部などにもできることがあります。早い方で30歳頃から出現し、年齢を重ねるたびに増えていき、80歳以上のほぼすべての方に脂漏性角化症が起こることがわかっています。

紫外線の影響

皮膚に紫外線が当たることで、表皮基底細胞の遺伝子が異常をきたし、脂漏性角化症を引き起こします。

遺伝子異常を起こした皮膚の表皮基底細胞は、メラニンと呼ばれるシミのもとになる成分を作り出すことで、黒や褐色などの「シミ」が発生します。シミは脂漏性角化症のように盛り上がったタイプと平坦なタイプがあるのが通常です。

平坦なものは「老人性色素斑」と呼ばれます。顔や手など、紫外線が影響でできた脂漏性角化症は、日光を防ぐケアを行うことで、発生を予防できます。一方で、陰部や腹部など、紫外線が当たらない部位の予防法に関しては存在しないのが現状です。

脂漏性角化症の予防方法

脂漏性角化症を予防するには、紫外線をなるべく浴びないことが大切です。

野外でスポーツを行う、庭いじりや外出をするなど、紫外線を直接浴びる機会が増えるときには、肌の露出部位にしっかりと日焼け止めを塗りましょう。肌荒れしやすい方は、日焼け止め以外にUVカット機能の付いた服や日傘を着ることでも紫外線対策ができます。

室内にいる場合も紫外線ダメージを受けるリスクがあります。外出をしないときにもPAとSPF値が低い日焼け止めを使うなど、できる限り塗布するよう心がけましょう。

PAとSPF値の表示内容
スクロールできます
PA+〜++++まである
+が増えるほど防御力が高い
UVAと呼ばれる紫外線を防ぐ働きを示す
UVAには肌を黒くさせ、弾力を低下させる作用がある
SPF1〜50+まである
数値が大きくなるほどに防御力が高い
UVBと呼ばれる紫外線を防ぐ働きを示す
肌の赤みや炎症を起こし、黒く沈着させる作用がある

PAとSPF値、それぞれが+や数値が上がるほどに効果が高くなりますが、肌への負担も強くなる点が特徴です。

そのため肌ダメージが気になる方は、野外では数値の強い日焼け止めを使い、屋内では低刺激性でPAやSPF値が低いものを選ぶと良いでしょう。また気づかないうちに、塗ったはずの日焼け止めが手洗いや汗などで流れ落ちていることがあります。
そのため、数回程度、顔や耳の後ろ、首筋などに2〜3時間おきを目安に塗り直すことをおすすめします。

脂漏性角化症のイボを
自分で取るのはOK?

脂漏性角化症ができても、自分で取るのは止めましょう

傷をつけることで炎症を起こしたり跡になったりする恐れがあります。また、イボをすべて除去できず、再発する可能性もあります。確実に、かつできる限りきれいに治したいのであれば、皮膚科や美容外科クリニックに相談してください。

脂漏性角化症の治療方法

スクロールできます
治療方法特徴
手術局所麻酔を使用してシミを切除する
凍結療法液体窒素で凍らせて除去する
電気外科的治療電気メスを使用してシミを焼却したり、剥ぎ取ったりする
レーザー治療レーザー熱を使ってシミを削り取る

脂漏性角化症の治療には上記の方法があります。

ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説します。

手術

手術は日帰りで行われるのが一般的です。

局所麻酔を行い、イボができている部分を摘出します。切除後は糸で縫合を行うため、ガーゼによる圧迫や安静が必要です。切除した箇所は傷跡が残りますが、時間の経過とともに改善していき細い線のようになっていきます。腕や足など、目立たない場所にできたときは手術を検討するとよいでしょう。

凍結療法

凍結療法は、液体窒素により脂漏性角化症を凍結させ、組織を壊す治療方法です。

皮膚科関連のほとんどのクリニックで行える治療方法のうえ、保険適応なので、比較的安価なのが特徴です。ただし、治療中の痛みに加え、およそ2年間もの色素沈着が残りやすいというデメリットがあります。

電気外科的治療

電気外科的治療は、電気メスの電流により焼灼して除去する方法です。

皮膚の削り具合によっては再発したり、瘢痕を残したりする可能性があるため、施術者のスキルが求められます。また、電気外科的治療を行っている皮膚科クリニックが少ないため、施術を希望してもそもそも受けられない可能性もあります。

レーザー治療

レーザー治療とは、高エネルギーのレーザーにより患部にピンポイントでダメージを与える治療方法です。

盛り上がりの程度に関係なくどの大きさの脂漏性角化症も綺麗に治療できます。色素沈着が数ヶ月程度なため、凍結療法よりも短い点が特徴です。また、レーザー治療は傷が目立ちにくく、種類が多いため、肌質や脂漏性角化症の状態に応じた治療ができるのがメリットです。

渋谷美容外科クリニックで可能な治療

  • Qスイッチ(YAG)レーザー
  • フラクショナルCO2レーザー
  • 電気メス

渋谷美容外科クリニックでは、上記の治療を取り揃えています。ご自身の脂漏性角化症の状態に合った治療方法を提案しますので、シミに悩んでいる方は気軽にご相談ください。

Qスイッチヤグレーザー

Qスイッチヤグレーザーとは、532nmと1,064nmの2種類の波長を搭載したレーザー治療を指します。2つの波長を使い分けることで、皮膚の深さに合わせて脂漏性角化症を綺麗に取り除けます

また、脂漏性角化症以外のシミやあざ、ほくろなどの除去も可能です。レーザー照射で肌に熱が加わることで、コラーゲンが作られて毛穴の引き締めにもつながります。

フラクショナルCO2レーザー

フラクショナルCO2レーザーは、古い肌を新しい肌へ入れ替える比較的新しい治療を指します。

一定の間隔でレーザーを当てることで、皮膚再生を促すのが特徴です。治療直後から新しい肌への入れ替えが行われるため、脂漏性角化症だけでなく、肌質改善にもつながります。

脂漏性角化症に関する
よくある質問

顔や体に大きなイボができると心配になるものです。

ここでは、脂漏性角化症に関するよくある質問に回答します。

脂漏性角化症の治療は保険適用される?

凍結療法は保険適用が可能です。

手術によりイボを切除する場合も保険適用される場合があります。一方、レーザー治療の場合は審美目的とみなされるため、自費診療となります。

脂漏性角化症とほくろの違いは?

脂漏性角化症とほくろは見た目がよく似ていますが、発生機序から異なります

ほくろとは、母斑細胞の集まりです。メラニンを生み出すメラノサイトが変化した細胞を母斑細胞と呼びます。一方、脂漏性角化症はメラニンが蓄積されることで皮膚が盛り上がることで発生します。

赤い・白いイボは脂漏性角化症?

脂漏性角化症は茶色~黒色の場合が多いですが、ときには炎症により赤みを帯びることもあります。

赤い場合は脂漏性角化症の可能性もゼロではありませんが、白いイボができた場合は脂漏性角化症ではないでしょう。白いイボは稗粒腫やミズイボの可能性がありますが、判別は難しいため気になる症状があればまずは皮膚科を受診しましょう。

脂漏性角化症が頭皮や顔、背中やお腹にできることもある?

脂漏性角化症はどこにでもできる可能性があります。

特に、紫外線があたることも多い頭皮や顔によく見られますが、日の当たりにくい背中やお腹、陰部にもできることがります。

脂漏性角化症は
レーザー治療で綺麗に治そう

脂漏性角化症は、ボコっと盛り上がる特徴的な見た目をしたシミの一種です。皮膚の老化現象と紫外線が原因なため、日光を浴びないことで予防ができますが、完全に防ぐことは難しいのが現状です。

すでにできてしまった脂漏性角化症は、放置していても自然と良くなるわけではありません。そのため、見つけた時点で早めに治療を受ける必要があります。また、悪性の皮膚がんと間違われるケースがあるため、脂漏性角化症なのか専門の医師にきちんと判断してもらうことも大切です。

渋クリでは、レーザーを使った治療法を提供しています。自身の肌の状態と医師の診察結果をもとに、適切な治療の提案が可能です。ご自身のシミが脂漏性角化症なのかまずは判断したいという方も、無料カウンセリングをご活用ください。

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